東京ワイナリー(東京)
越後屋美和(代表)
-ワイナリーを造られる前は?
越後屋 太田市場の野菜の仲卸をしていて開発部というところにいました。「東京の野菜を東京の人に。都産都消」ということをやっていこうという部署でしたのでここで東京の野菜に初めて出会ったということになります。当時は東京に野菜はあるのか、農地はあるのかということ自体知らなかったですし、美味しいのか?という感じもあったんですけど初めて来たのがこの大泉学園(練馬区)でした。15、6年前です。初めて東京の農家さんというのに会って、住宅地の間の狭いところでやっているんですけど、狭いところでやっているからこその手の掛け方というのがあって、こんなに都内の野菜って美味しいんだなって初めて知って、私みたいな何も知らない人に届けたい。知ってもらいたい。東京の人だからこそ東京のものを大事にしてもらいたい。自分で独立した時に何かそういうことができないかと思った時に、農家さんのつながりがあって、食とか農家とか、人間の根本のところをやりたいなと思ったんですね。もともとワインが好きだったこともありますし、ワインは農産物100%で造られるということもあり面白いと思いました。 特に地元の野菜ですね。地元の農産物といっしょに食べ合わせるワインをコンセプトにやりたいなとそう思ったのがきっかけです。
-特に苦労されたところは何でしょうか
越後屋 そうですね。うちは種類(ワイン)がかなり多いんです。特に東京のブドウ、東京の農家さんはそれぞれの生産量が小さい。よって、複数の農家さんのブドウを仕入れることになります。時期になると、それぞれの農家さんのブドウを見に行かなければならない。買い入れの交渉もその都度ごとにおこないます。最初は3、4軒の農家さんから始まりいまではたくさんの東京の農家さんとつながっているのは幸せなことなんですが、ロットが小さすぎて作業量が増えてしまうというジレンマがあります。地方の農家さんだと大きなロットでブドウを仕入れて、それで500本とか1000本とかできるわけですが東京の農家さんのものだと30キロで50本とかそういうロットのものがたくさんでてくるのでそこが苦労しているところですね。生産者ごとの味を造りたいので、醸造後に混ぜることはありますが仕込みはなるべく混ぜずにやっています。結果、仕込みの回数が多くなるのは東京でやっていて大変だなと思うところです。
-将来の展望はありますか?
越後屋 地元のもの、東京のものというのは強いこだわりがあってやっています。ブドウの適地というところからすれば、東京は適地ではないと思いますがその中で生まれる味わいがあるんではないかと。そういうものをうまく活かした形でやっていきたいなということプラス、東京の農地がどんどん無くなっていく中で農地を残すひとつの理由としてブドウというのは面白いと考えています。東京でやる意味としては、都心から日帰りでくることができる。皆さんにいろんなことを知ってもらって、ワインってこういうふうにできるんだなっていうものを提供したい。その中で畑の作業とかいうものが日帰りでできるようになり、それがワインになるという循環が生まれたら素敵ですね。それは練馬だからできると思っています。
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